猫の糖尿病 ~糖尿病の症状とケトアシドーシスについて~


猫の糖尿病は、人の糖尿病と変わりはなく、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、その作用が阻害される事によってブドウ糖が体内に取り込めなくなる事で血糖値が上昇し、全身に様々な症状が発現します。

糖尿病を発症すると、体重減少や腹部膨満などの症状を発現し、十分な治療をしなかったり、放置をするとケトアシドーシスという状態に陥り、最悪の場合は死亡してしまう事もあります。

今回は、猫の糖尿病について紹介していきたいと思います。

猫の糖尿病の原因


糖尿病には、インスリンの分泌量が低下する事で発症するインスリン依存型とインスリンに対する体の反応が鈍くなったことで発症するインスリン非依存型の2つ種類があります。

インスリン依存型は、アミロイドーシス、慢性膵炎(まんせいすいえん)、遺伝的素因などが原因となりインスリンを分泌する組織が破壊される事によってインスリンが十分に産生されなくなると考えられています。

また、インスリン非依存型は肥満やストレス、運動不足といった環境要因や甲状腺機能亢進症、先端肥大症(90%がオス)、クッシング症候群(60%がメス)、腎疾患、肝疾患、心不全、腫瘍などや慢性的な炎症性疾患などが誘因となっていると考えられています。

糖尿病は、10歳齢以上の中高齢の猫での発症が多く、痩せている猫よりも肥満の猫で多いとされています。
また、メス猫よりも去勢をしていないオス猫で多いとされ、どんな猫種でも発症しますが、シャムやバーニーズで発症が多いとされています。

糖尿病の原因としては、早食いやドガ食いを習慣的に行っていると食餌の度に大量のインスリンが放出されてしまう為に、インスリンに対する反応が鈍くなってしまい、結果的に血糖値が高い状態が維持されるようになり、糖尿病を発症します。

また、副腎皮質ステロイド、黄体ホルモン、利尿薬、心臓の薬、抗けいれん薬などはインスリンの働きを弱め、糖尿病を引き起こすことがあります。

猫の糖尿病の症状


糖尿病を発症すると、食欲が増加してたくさん食べているにもかかわらず体重が増加しない・飲水量と尿量の増加・腹部膨満などの初期症状が認められます。また、食欲が減退する場合もあります。

進行すると、神経系に異常が生じ、踵(かかと)を地面につけて歩く踵様跛行(しょうようはこう)が認められたり、歩き方がおかしくなってきたりしてきます。
また、感染症にかかりやすくなり、細菌性の膀胱炎(ぼうこうえん)や皮膚炎を発症する事があります。

さらに進行すると体重減少と食欲低下が起こります。代謝異常から体内にケトン体という酸性物質が蓄積し、体液が酸性に傾くケトアシドーシスという状態になります。この状態になった場合には早急太対処が必要となります。

また、糖尿病では、腎障害や、脂肪肝などの肝疾患を併発することもあり、黄疸(おうだん)が認められる場合もあります。

ケトアシドーシス


ケトアシドーシスは、糖尿病が進行するとケトン体が出現し、血液が酸性に傾くために体調が悪化し、その状態をケトアシドーシスと呼びます。
また、ケトアシドーシスになると1日~1週間ほどで急に症状が発現します。

インスリンの不足や機能不全で細胞内に取り込まれるエネルギーが減ると、たりないエネルギーを貯蔵している脂肪で補おうとし、分解された脂肪からケトン体が生成されます。
その結果、産生のケトン体が増加し、血液が酸性に傾く事で発症します。

糖尿病に長期間気づかなかったり、治療方法が不適切だった場合に発症し、多くの場合、インスリン依存型糖尿病で発症します。

症状としては、食欲不振・水を飲まなくなる・元気消失・嘔吐・下痢・昏睡などがあり、最終的に昏睡状態に陥り、死亡してしまいます。
重度になると猫の体からマニキュアの除光液のようなにおい(アセトン臭)がするのが特徴です。

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猫の糖尿病の診断

犬の糖尿病の場合には血糖値が高いだけで診断する事もできますが、猫の場合は血糖値が高いだけでは糖尿病と診断する事はできません。
その理由は、猫は興奮をすると血糖値が高くなってしまう為です。なので、血糖値が高いだけでインスリンを投与すると量によっても変わってきますが、低血糖となり、危険な状態に陥ってしまうときもあります。

猫の糖尿病を診断するには、空腹時での持続的な高血糖と尿糖(及び尿のケトン体)の存在を証明して初めて診断できます。興奮による高血糖では糖尿は起こりません。

しかし、持続的にストレスを受けている猫は、持続的な高血糖と尿糖を引き起こすことが稀に起こる為に、できるだけストレス状態をさけた状態で、持続的な高血糖と尿糖が存在するかを再度調べるか、フルクトサミンを測定します。

フルクトサミン測定は血液検査の項目の一つで、約1~3週間前の平均血中グルコース濃度を示します。

猫の糖尿病の治療


糖尿病の治療は血糖値をコントロールする事が重要です。血糖値のコントロールは、適切な量のインスリンを毎日注射することで行われます。また、血糖値が急激に上昇しないよう、食事療法や経口血糖降下剤などが施される事もあります。

インスリン非依存型糖尿病の場合、原因となっている病気や肥満、ストレスなどの改善によっては、インスリン注射が必要でなくなる場合もあります。

ただ、ケトアシドーシスを引き起こしている場合には緊急入院する必要があります。

猫の糖尿病の予防

予防は、日頃からストレスや肥満を防ぐことが一番の予防になります。
猫にとってストレスにならないような環境を整え、適度な運動と適切な飼育・管理を行うようにします。
また、動物病院で定期的な健康診断を受けて、早期発見・早期治療を心がける事も大切な予防法の1つです。

肥満の猫は標準体重にするためにダイエットが大切で、カロリーを一定の量にして、それには線維を多く含む食餌を与え、体重を減少し、食後の糖分の変動を少なくします。
ただ、痩せている猫の場合には高線維食は使用しないようにします。痩せている猫の場合はカロリーが多く必要となるためです。

まとめ

1. 原因は、早食いやドガ食いを習慣的に行っていると食餌の度に大量のインスリンが放出されてしまう為に、インスリンに対する反応が鈍くなってしまい、結果的に血糖値が高い状態が維持されるようになり、糖尿病を発症します。

2. 症状は、食欲が増加してたくさん食べているにもかかわらず体重が増加しない・飲水量と尿量の増加・腹部膨満などの初期症状が認められます。また、食欲が減退する場合もあります。

3. ケトアシドーシスは、糖尿病が進行するとケトン体が出現し、血液が酸性に傾くために体調が悪化します。

4. 診断は、空腹時での持続的な高血糖と尿糖(及び尿のケトン体)の存在を証明して初めて診断できます。

5. 治療は、インスリンの投与によって血糖値をコントロールする事が重要です。

6. 予防は、日頃からストレスや肥満を防ぐことが一番の予防になります。

猫の糖尿病は、食欲が増加してたくさん食べているにもかかわらず体重が増加しない・飲水量と尿量の増加・腹部膨満などが初期症状として認められます。
これらの症状を確認した場合にはすぐに動物病院で診察を受けるようにする事が大切となります。また、適正体重を維持するようにする事も大切です。

(コラム:ペット専門家 クロさん)