猫の膵炎(すいえん) ~漏れ出た消化酵素が周囲の臓器を攻撃してしまう。膵炎の原因と治療法~


膵炎(すいえん)は、膵臓(すいぞう)に炎症が起こり、膵臓で産生できる消化酵素が膵臓自身や膵臓から漏れ出て周囲の臓器を溶かしてしまう病気です。
また、膵炎には急性と慢性に分類されていますが、症状が特異的な症状がないので見落としやすい傾向にあります。

今回は、猫の膵炎について紹介していきたいと思います。

猫の膵炎の原因


膵炎は血糖値のコントロールと栄養分の消化を担当している膵臓に炎症が発生した状態です。また、膵臓は内分泌機能と外分泌機能に分類され、内分泌機能はランゲルハンス島が中心となってホルモンの生成に関わっていて、外分泌機能は膵液の生成に関わっています。

急性膵炎は、事故などで腹部を強打する事で膵臓がダメージを受けて、膵臓の酵素が漏れ出して膵臓や周りの臓器を攻撃してしまう事で発症します。
また、膵臓内に保管されている膵液がさまざまな原因により活性化され、膵組織の自己消化と炎症反応が生じることにより発症します。

この他にも猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫ウイルス性鼻気管炎などのウイルス感染症やトキソプラズマ症などの様々な感染症、胆管肝炎、慢性的な胃腸炎による炎症が膵臓にまで波及する事で発症する事があります。
また、急性膵炎は肥満な猫よりも痩せている猫で発症が多い傾向にあります。

慢性膵炎は、急性膵炎が治りきらずに再燃してしまった場合に発症する事があり、シニア期の膵炎は慢性膵炎の事が多いようです。
猫種によっての差はないとされていますが、シャムではやや発症が多いとされています。また、膵炎は7歳齢頃によく認められます。

猫の膵炎の症状


膵炎は、急性、慢性共に症状が他の病気でも認められるような症状の為に見落とされやすい傾向にあります。

急性膵炎では、低体温、嗜眠(しみん)、元気の低下、沈うつ状態、食欲低下や頻回の嘔吐、下痢、脱水などが症状として認められます。また、腹部が激しく痛むため、お腹を抱えて丸くなっていたり、抱きあげられるのを嫌がったりする事もあります。

また、炎症が重い場合は、ショック症状に陥り、昏睡状態になることもあります。

慢性膵炎では、食欲低下、抑うつ、嘔吐、下痢などの症状が、現れたと思ったら治まり、また現れるといったことが繰り返し認められます。
慢性膵炎の場合には、インスリンを分泌する部分がダメージを受ける為に糖尿病を併発する事もあります。

猫の膵炎の診断

膵炎は診断が最も難しい病気といわれます。
診断には、病歴の聴取、身体検査、血液検査、エックス線検査、そして最も有効と思われているのが、腹部の超音波検査とされます。

また、糖尿病を罹患している猫の約50%以上が膵炎を発症しているというデータもあるので、糖尿病を罹患している場合には膵臓の検査を行う事もあります。

スポンサーリンク




猫の膵炎の治療


治療としては、膵炎を休ませるために短期間の絶食が施されます。また、絶食をさせている間は嘔吐や下痢などにより脱水症状を発現している場合には輸液等を施されます。

また、対症療法としては、タンパク分解酵素阻害薬で膵臓の酵素の働きを抑制したり、抗炎症剤や鎮痛剤の投与などが施されます。

他の病気や併発している病気がある場合には、まずはその治療が施されます。
また、膵炎が悪化して胆嚢の管が詰まってしまった場合には外科的に詰まっている状態を改善する場合もあります。

肥満が膵炎を悪化させる原因となっている為に、ダイエットを行います。

猫の膵炎の予防


予防としては、完全室内飼育にしたりして、交通事故や感染症にならないようにする事が大切です。また、落下事故を起こさないようにマンションなどで飼育する場合にはベランダや窓を開けっぱなしにはしないようにしましょう。

その他にはワクチン接種をしっかりしたり、健康管理や適正体重を維持するなどを行う事が大切です。

まとめ

1. 原因は、膵炎は急性と慢性に分類され、急性膵炎は、事故などで腹部を強打する事で膵臓がダメージを受けて、膵臓の酵素が漏れ出して膵臓や周りの臓器を攻撃してしまう事で発症します。また、慢性膵炎は急性膵炎が治りきらずに再燃してしまった場合に発症する事があり、シニア期の膵炎は慢性膵炎の事が多いようです。

2. 症状は、低体温、嗜眠、元気の低下、沈うつ状態、食欲低下や頻回の嘔吐、下痢、脱水などが症状として認められたり、また、腹部が激しく痛むため、お腹を抱えて丸くなっていたり、抱きあげられるのを嫌がったりする事もあります。

3. 診断は、病歴の聴取、身体検査、血液検査、エックス線検査、腹部の超音波検査によって診断されます。

4. 治療は、短時間の絶食や対症療法、原因となっている病気の治療が施されます。

5. 予防は、完全室内飼育に変更したり、ワクチン接種をしっかりしたり、健康管理や適正体重を維持するなどが行われます。

猫の膵炎は急性と慢性があり、症状では見分ける事ができないので日頃と違う行動が認められた場合にはすぐに動物病院で検査を受けるようにしましょう。
特に糖尿病を罹患している場合には50%以上で膵炎を併発している事があるので注意が必要です。

慢性膵炎の場合は、治療をしても再燃をする事があるので、一度治療をしても十分に注意しましょう。また、バランスの良い食餌と適度の運動で適正体重を維持する事も行いましょう。

(コラム:ペット専門家 クロさん)

スポンサーリンク