猫の椎間板ヘルニア ~椎間板の髄核が神経や脊髄を圧迫!椎間板ヘルニアの症状と治療法~


猫は、脊椎系の病気は少ないといわれていますが、椎間板ヘルニアを発症する事があります。

椎間板ヘルニアを発症すると歩き方が悪くなったり、運動を嫌がったりするようになってしまいます。
命に関わるわけではないですが、重傷化すると飼い主や家族の補助が必要になってしまう病気です。

今回は、椎間板ヘルニアの症状と治療法について紹介していきたいと思います。

猫の椎間板ヘルニア


背骨は猫も犬も同じく、首から尻尾まで脊椎でつながっています。この脊椎の間にクッションのように挟まっているのが椎間板です。この椎間板によって背骨をしならせたり、衝撃を吸収する働きをする事ができます。
また、椎間板はクッションの外側に相当する繊維輪(せんいりん)とクッションの中身に相当する髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状の組織から構成されていて、この椎間板が潰れて変形した状態が椎間板ヘルニアです。

椎間板の髄核が神経や脊髄を圧迫することで神経症状が発現してしまいます。
また、椎間板ヘルニアは髄核が完全に飛び出したものをハンセンI型(髄核脱出型)、髄核が繊維輪の中にとどまっているものの椎間板が後方に膨らんだものをハンセンII型(繊維輪突出型)と分類されます。

猫の椎間板ヘルニアの原因


椎間板ヘルニアの原因としては、交通事故や高い場所からの落下、壁への衝突などがあります。これらの外部からの強い外力が加わる事で椎間板が潰れて髄核が飛び出てしまうことで椎間板ヘルニアを発症します。

また、最近多いとされるのがフローリングでの室内の事故です。
フローリングは滑りやすいので、体をうまく支える事が難しくなり、通常時よりも外力が加わりやすくなるので、発症しやすいといわれます。

椎間板に対して強い負担をかけるといわれるのが肥満です。完全室内飼育の猫の場合は運動不足になりやすくなるので、肥満になりやすくなってしまいます。
また、大きな猫は小さい猫よりも椎間板への負担が大きい事から発症しやすいといわれます。

シニア期になるとコラーゲン繊維が弱くなるために今までは支えられていた外圧でも支えきれなくなってしまい、繊維輪が壊れてしまい、ヘルニアを発症してしまいます。

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猫の椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状としては、歩き方がおかしくなり、運動を嫌うようになります。また、四肢や胸部の疼痛や麻痺、首から下の疼痛や麻痺が起こり、第二~第四腰髄, 後肢の麻痺、前肢の伸展姿勢であるシッフシェリントン現象が起こります。

更に四肢の麻痺、運動失調、排尿、排便の失禁などが起こり、突然麻痺が起こるというのは少なく、今までもふらふらしていたが、今日は全く立てなくなったというパターンが多いようです。
また、椎間板で圧迫を受けた脊髄で炎症が起き、疼痛が生じるようになり、背中を触る事を嫌がるようになったり、腰を落としたりします。

猫の椎間板ヘルニアの診断


椎間板ヘルニアの診断方法としては、神経学的検査やレントゲン検査、脊髄造影によって診断が行われます。

神経学的検査とは、肢先をつねったり、皮膚をつねって疼痛を感じるかなどのこといい、異常が確認されたら、レントゲン検査や脊髄造形の検査へと進みます。

また、CTやMRI検査も行われます。特にMRI検査ではヘルニア部位の特定だけでなく、脊髄の障害の程度、あるいは脊髄造影では診断できないごくまれな病態を検出することができます。中でも重度の椎間板ヘルニアで発生する脊髄軟化症は死亡する危険性がありますが、これはMRI検査でしか診断をする事ができません。

猫の椎間板ヘルニアの治療

ヘルニアが軽度の場合は、非ステロイド系の薬や抗炎症薬の投与などの症状の軽減を目的とした対症療法が施されます。
また、ヘルニアがこれ以上悪化しないように運動制限を行い、肥満を引き起こしている場合には症状が軽減してからダイエットが行われます。

また、ヘルニアが重症の場合は、手術によって飛び出した髄核を物理的に除去されます。

飛び出た椎間板が膀胱や直腸の周辺や膀胱、直腸を直接圧迫している場合は自力で排便や排尿ができないこともあります。
その場合には、尿道からカテーテルと呼ばれる細い管を通して人為的に排尿させたり、おなかを押したり浣腸するなどして排便を促すといった排尿や排便の補助が必要となります。

運動機能の回復が見込めない場合には猫用の車いすを使用して猫のQOLを高めるといった事も大切な治療です。

猫の椎間板ヘルニアの予防


椎間板ヘルニアの原因として交通事故などがあるので、それを防ぐ為に完全室内飼育にする事で予防することができます。
また、肥満も原因として考えられるので、適正体重を維持するように食餌量や適度の運動をさせるなどをする事も大切です。

室内が滑りやすいフローリングの場合には滑りにくい床材に変える事でも予防ができます。

まとめ

1. 椎間板ヘルニアは、椎間板の髄核が神経や脊髄を圧迫することで神経症状が発現してしまいます。

2. 原因は、交通事故や高い場所からの落下、壁への衝突などがあります。

3. 症状は、歩き方がおかしくなり、運動を嫌うようになります。また、四肢や胸部の疼痛や麻痺、首から下の疼痛や麻痺が起こり、第二~第四腰髄, 後肢の麻痺、前肢の伸展姿勢であるシッフシェリントン現象が起こります。

4. 診断は、神経学的検査やレントゲン検査、脊髄造影によって診断が行われます。

5. 治療は、非ステロイド系の薬や抗炎症薬の投与などの症状の軽減を目的とした対症療法が施されます。また、ヘルニアがこれ以上悪化しないように運動制限を行い、肥満を引き起こしている場合には症状が軽減してからダイエットが行われます。

6. 予防は、完全室内飼育にしたり、適正体重を維持することでも予防できます。

猫の椎間板ヘルニアは発症率は少ないですが、重症化すると飼い主や家族の世話が大変となってしまうので、しっかりと予防するようにしましょう。

また、ヘルニアは交通事故や落下事故を起こさないように完全室内飼育したり、ベランダなどに出ないようにしたりする事で予防しましょう。
更に、肥満が原因の場合もあるので、適正体重を維持するようにバランスの良い食餌と適度の運動を心がけましょう。

(コラム:ペット専門家 クロさん)