猫の副鼻腔炎 ~鼻の奥にある副鼻腔の炎症。慢性化しやすい副鼻腔炎の原因と症状、治療法~


副鼻腔炎(ふくびくうえん)は、鼻の奥にある副鼻腔と呼ばれる場所に炎症が生じた状態です。また、副鼻腔は、鼻腔の上に位置する前頭洞(ぜんとうどう)と鼻腔の奥に位置する蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の2つがあります。

副鼻腔は薬剤が届きにくく、外科的処置もしづらい場所にあるので、一度炎症を起こすと慢性化しやすいため、場合によっては一生涯治療を行う必要が出たり、後遺症が残ってしまう場合もあります。

今回は、猫の副鼻腔炎について紹介していきたいと思います。

猫の副鼻腔炎の原因


猫の副鼻腔炎の主な原因としては、鼻炎が生じた結果として副鼻腔内にまで炎症が波及してしまいます。
副鼻腔の一部は鼻腔とつながっているため、鼻腔内に炎症があると、小さな穴を伝って副鼻腔内に侵入してしまうことがあります。
また、鼻炎と副鼻腔炎は併発する事が多いので、鼻副鼻腔炎と合体させて呼ばれることもしばしばあります。更に、炎症の結果として副鼻腔内に膿が溜まった状態を蓄膿症(ちくのうしょう)と呼ばれます。

ネコヘルペスウイルス1型やネコカリシウイルスなどの感染症に感染する事によっても発症するといわれ、稀にクラミジアによる鼻炎から副鼻腔炎を発症するといわれています。

シニア期の猫の場合には、若い頃にかかったウイルス性鼻炎が慢性化してしまったケースのほかに、悪性腫瘍による副鼻腔炎の発症もあります。
また、歯周病が原因となって発症する場合もあります。

猫の副鼻腔炎の症状


副鼻腔炎の症状としては、鼻水やくしゃみ、息が荒くなる、鼻筋が盛り上がる、結膜炎や鼻炎の併発、鼻や顔を気にするそぶりを見せるといったものがあります。また、鼻水はさらさらしたものからねばねばしたものまであります。

重症化した場合には、鼻血が出る場合もあり、臭いが嗅ぐ事ができなくなり、食欲がなくなってしまう事もあります。

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猫の副鼻腔炎の治療


副鼻腔炎かどうかは、血液検査やX線検査によって診断されます。

副鼻腔炎と診断された場合には、治療が施されていきます。
別の病気が原因となって発症している場合には、まずは原因となっている病気への治療が施されます。

ウイルスが原因の場合には、いまだにウイルスに有効な特効薬がないのでインターフェロンといった免疫を高める治療や炎症を抑える対症療法が施されます。
また、猫が弱っている場合には感染が起こらないようにする為に抗生物質に投与が施される場合もあります。

ウイルス感染した場合には、重症化することがあり、その場合には入院が必要になります。
治療の効き目が現れだした場合、7~10日ほどで症状は改善していきますが、副鼻腔炎の慢性化を防ぐために、数か月間は抗生物質などの治療を継続することもあります。

また、クラミジアや細菌感染では、その原因菌に合わせた抗生物質の投与が施されますが、抗生物質による治療は長期間に及ぶため、培養検査と感受性検査という原因菌およびそれに有効な抗生物質を特定する検査を実施した上で、治療を行うことが大切とされます。

悪性腫瘍の場合には、副鼻腔は外科処置が難しいので悪性腫瘍の治療としては抗がん剤治療、放射線治療といった治療を組み合わせて治療することがほとんどです。

重傷化した場合、呼吸困難を引き起こしている場合には命に関わる事もあるので、すぐにネブライザーと呼ばれる吸入器を使用して、鼻やのどに薬剤を噴霧して炎症を抑える治療が施されます。
また、副鼻腔に膿がたまる蓄膿症を発症している場合は、チューブなどを用いてたまった膿を洗い流す治療が施されます。

猫の副鼻腔炎の予防


ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリシウイルス、ネコクラミジアはワクチンによる予防ができるので、しっかりとワクチン接種をするようにしましょう。

ウイルスや細菌などに感染しないように完全室内飼育をする事で予防する事もできます。
また、外から新たに猫を迎える際には、しばらくは隔離させたりして感染リスクを減らす事が大切です。

まとめ

1. 原因は、鼻炎が生じた結果として副鼻腔内にまで炎症が波及してしまいます。また、ウイルスや細菌、悪性腫瘍、歯周病等も原因と考えられています。

2. 症状は、鼻水やくしゃみ、息が荒くなる、鼻筋が盛り上がる、結膜炎や鼻炎の併発、鼻や顔を気にするそぶりを見せるといったものがあります。

3. 治療は、対症療法として抗生物質などの内科的治療が施されます。また、呼吸困難を引き起こした場合にはネブライザーを使用して治療したりする場合もあります。

4. 予防は、ワクチンによる予防や完全室内飼育にする事で予防ができます。

猫の副鼻腔炎は、鼻水やくしゃみ、息が荒くなる、鼻筋が盛り上がる、結膜炎や鼻炎の併発、鼻や顔を気にするそぶりを見せるといったものが症状として発現するので、飼い主や家族としても見つけやすい病気です。
なので、これらの症状を認めた場合にはすぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

また、いくつかの原因によって副鼻腔炎は発症しますが、そのほとんどが鼻炎なので鼻炎にならないようにする事でも副鼻腔炎を予防することができます。

更に、ウイルス感染症やクラミジアはワクチンによって予防することができるので、しっかりとワクチン接種をする事で副鼻腔炎を予防する事もできます。

(コラム:ペット専門家 クロさん)